
【2027年度】看護学部・新増設大学一覧
文部科学省の認可が下りるまでは、大学・学部・学科は新設、増設できません。
文部科学省に認可されるかどうかは、2026年8月末に発表される予定です。
過去に認可が下りなかったケースはありますし、近年は文科省の審査が厳しくなっているので新設できない可能性が以前より高まっています。
従来、学生を受け入れる準備が不十分との理由で文科省に不認可になるケースはありましたが、それに加えて、近年は学生を安定的に集めることができるかどうか、客観的なデータを明確に示すことが大学側に要求されています。
※以下の内容は全て予定であり、変更になることがあるので十分注意してください。
看護学部・看護学科の新設・増設(2027年4月設置予定)
岐阜保健大学 名古屋看護学部(2027年4月開設予定)

名古屋市に新キャンパスを設置
岐阜保健大学は、2027年4月に「名古屋看護学部(仮称)」を新設予定です。定員は80名。場所は名古屋市港区千鳥1丁目で、地下鉄名港線「築地口駅」から徒歩圏内に位置します。2023年に閉校した「名古屋市医師会看護専門学校」の跡地を活用し、都市型キャンパスとして開設される予定です。
また、新キャンパスの開設にあわせて大学名称を「日本保健大学」へ変更する計画も進められています。これは、岐阜県と愛知県の両地域に学部をまたがって展開し、より広域的に医療人材を育成していく方針を反映したものです。
学部の教育方針と特色

新設される名古屋看護学部は、地域医療に貢献できる看護師の育成を目指しています。
また、保健師の国家資格取得を目指すコースも設けられる予定です。
名古屋市医師会と連携し、市内の病院や診療所での実習体制を整備。
さらに、最新のシミュレーション教育を取り入れ、集中治療室や新生児室を再現した環境で看護技術を磨く計画が進められています。こうした実践的カリキュラムにより、即戦力となる人材育成が期待されています。
地域性と新設の背景

岐阜保健大学はすでに岐阜県岐阜市に看護学部を設置しており、地域医療に根ざした教育を行っています。さらにリハビリテーション学部も擁しており、看護とリハビリの両分野で医療専門職を育成してきました。名古屋看護学部の開設に伴い、岐阜市の看護学部の定員は80名から60名に減員される予定で、両キャンパスそれぞれが地域に密着した人材育成を担う体制が整えられます。
愛知県は全国的に看護師不足が深刻で、特に名古屋市では地域医療を担う人材育成が課題となっています。名古屋看護学部の新設は、看護師不足解消に応える取り組みであり、閉校した名古屋市医師会看護専門学校の教育理念を引き継ぐものです。大学関係者も「都市型の教育拠点として新しい展開」と位置づけ、地域医療や多文化共生、防災医療など都市特有の課題にも取り組む意向を示しています。
当サイトの分析
岐阜保健大学 名古屋看護学部は、岐阜と名古屋の二拠点体制をとる点で、東海地方でも珍しい存在です。総合大学の一学部として看護を学ぶ場合と違い、医療系に特化した単科大学のキャンパスであるため、教育リソースを看護やリハビリといった実学に集中できるのが特徴です。
教育面では、前述の通りシミュレーション教育と地域医療との連携が大きな特色です。市内のさまざまな医療機関と結びつき、都市部ならではの多様な現場で実習を経験できる体制は、名古屋市内の他大学と比べても独自性があります。まさに「地域全体を学びの場とする」スタイルで、実践的な学びを通して地域医療に直結した人材育成を進めています。
また、新キャンパスが名古屋市南西部(港区)に位置する点も注目されます。名古屋市内の看護学部はこれまで守山区・千種区・東区・瑞穂区・中区といったエリアに立地しており、港区を含む市南西部には存在しませんでした。そのため、港区での新設は立地的にも新しい動きです。岐阜キャンパスで培った教育実績を都市圏にも広げることで、岐阜と名古屋の両地域に根ざした医療人材育成が期待され、将来的には東海エリア全体のネットワーク形成にも寄与すると考えられます。
東北医科薬科大学 看護学部 看護学科(仮称)(設置構想中)

【2027年度開設予定】東北医科薬科大学の看護学部、その可能性と意味を考える
2025年6月16日、東北医科薬科大学から「新学部設置構想」が公表されました。
新たに開設が予定されているのは、下記の2つの学部です。
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看護学部(看護学科・仮称)
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医薬生命情報学部(生命情報学科・仮称)
このうち、看護学部の新設は、仙台市内で4校目となる私立大学の看護系学部となり、地域の進路選択や医療人材育成において新たな動きとして注目されています。
なぜ今、新たな看護学部なのか?
東北医科薬科大学はこれまで、医学部・薬学部を柱に医療系人材の養成を進めてきた大学です。そこに加わる形で看護学部を設置することにより、いわゆる「医・薬・看」の3学部が揃う構成が実現します。
公表されているスケジュール(2025年6月時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構想発表 | 2025年6月16日 |
| 文部科学省への申請 | 2026年3月頃を予定 |
| 認可見込み | 2026年8月ごろ |
| 入試実施 | 2026年度(2027年4月入学者向け) |
| 開設時期 | 2027年4月(令和9年度) |
宮城県内の看護系私立大学との比較
現在、宮城県内には以下の私立看護系大学があります。
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東北福祉大学
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東北文化学園大学
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仙台青葉学院大学
これらはいずれも仙台市内にあり、地理的には競合しやすい位置関係にあります。今後、東北医科薬科大学の新設により、4大学が同市内で看護学部を展開する構図になります。
それでもなお、なぜ注目すべきなのか?
ポイントは以下の3つに集約されます。
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附属病院がある(東北医科薬科大学病院)
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医学部・薬学部との学部横断型教育(IPE:多職種連携教育)が可能
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新設学部として設備や教育体制をゼロから設計できる
特に1と2は、仙台市内で既に看護学部を展開している他の私立大学(東北福祉大学、東北文化学園大学、仙台青葉学院大学)には見られない強みです。
実習の質と就職力に与える影響
看護教育において、実習先の病院がどのような場所かは、将来の臨床スキルに直結します。
東北医科薬科大学の場合、自学の附属病院があることで、実習先の確保が安定し、教育の質の維持・向上にも期待がかかります。また、医師・薬剤師とのチーム医療を学生のうちから経験できる体制は、いまの時代の看護教育に非常にマッチしています。
高校生が志望するとしたら?
たとえば、私が高校生だったとしたら、どんな視点で大学を選ぶか考えてみたいと思います。
公立志向の人は「宮城大学(看護学群)」や「東北大学(保健学科看護専攻)」を選ぶ傾向が強い一方、私立志向の受験生の中には、東北福祉大学や仙台青葉学院大学、そして東北文化学園大学を志望する人もいます。実習施設との連携や通学環境など、それぞれの大学に特色があり、どこに魅力を感じるかは人によって異なるでしょう。
そこに2027年から「薬科大の看護」という新たな選択肢が加わることは、受験生にとっても大きな意味を持ちます。偏差値がやや高めに設定される可能性はありますが、「どうせ私立に行くなら、附属病院がある方が安心」と考える層には確実に刺さるはずです。
当サイトの見解
看護学部を新設しても、志願者数は以前より落ち着きを見せています。
そんな中、東北医科薬科大学の看護学部新設は、“ただ増やす”のではなく、医学・薬学との連携を活かした、質の高い看護教育を目指しています。
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地域医療に根ざした実践教育
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医・薬・看の三学部連携
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附属病院を活用した実習
これらの要素が揃うことで、他大学とは異なる教育環境が生まれる可能性があるのは確かです。
単に「看護師を育てる」だけではなく、「医療の現場を理解し、チームで動ける人材を育成する」ことが目指されている印象を受けます。
東北という医療資源に課題のある地域で、そのような教育拠点が加わることには一定の意味があるのではないでしょうか。
九州国際大学 看護学部 (仮称)(設置構想中)

九州国際大学(北九州市八幡東区)は2027年4月に看護学部(仮称)を新設する計画を進めています。
この計画は、2029年3月に閉校予定(※学生募集は2026年4月が最後)の八幡医師会看護専門学院の役割を引き継ぐものです。
1955年創立の同学院は約6,900名の卒業生を輩出してきましたが、近年は大学進学志向の高まりやコロナ禍の影響で定員割れが続いていました。
これを受けて2025年1月、九州国際大学と八幡医師会は「看護学部設置・運営に関する包括連携協定」を締結。
平野キャンパスに設置予定の看護学部(仮称)は定員80名で、看護師・保健師の国家試験受験資格が取得できる予定です。
九州国際大学には現在(2025年時点)では法学部と現代ビジネス学部が設置されており、看護学部(仮称)が設置された場合は3番目の学部となります。
交通アクセスはJR八幡駅から徒歩8分。
【参考】
・「九州国際大学が看護学部を新設へ…」.読売新聞.2025-02-04,https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250204-OYTNT50025/
